*すべて個人の意見に過ぎないので合わなかったらブラバ推奨
去年の年始に「SideM今後CD展開予想」という記事書いたが、読み返すと当ててる部分もあり、予想を超えたものもあり、かなりいい結果になったんじゃないかな。
追記:今回の話とかなり被ってる部分あるので、こちらの文章を読み終えたあとよければ読んでみてください。自分としてはちょっと答え合わせになった気分。
ここで去年発売されたSideM関連の曲を月別でまとめてみた。
1月 NSEシリーズ 07/08
2月 NSEシリーズ 09/10
3月 NSEシリーズ 11/12
4月 NSEシリーズ 13/14/15
7月 POPLINKS TUNES!!!!!
8月 VOY@GER
9月 GSシリーズ 01
10月 緑陰のGymnasium
12月 GSシリーズ 02
改めて見ると、一年の中に曲出されてない月のほうが少ない。
実質新曲は15曲しかないが(配信含み16曲)、今後出される予定の曲を考えれば妥当かと。
何せ新作ゲームと新CDシリーズに約束された98曲があるからだ。
6thライブツアー東京Day 2にて発表されたこの「THE IDOLM@STER SideM 49 ELEMENTS」ユニットEPシリーズ。
今までのシングルと複数ユニットのオムニバス(所謂アニバ)形式と違って、ユニットに集中するEP(ユニット曲+ソロ曲)。ユニット好きな人にもアイドル単体好きな人にも嬉しいCDシリーズになるだろう。
ちなみにアイマスで最初にユニット+ソロ曲形式でCD発売したのがJupiterのアリギルだったことを気づき激アツ🔥
しかし8周年でやっと2曲目のソロか。
2017年以来、4年ぶりのソロ曲。発売時期によっては5年半ぶりになる可能性も。
ユニットを重んずるコンテンツ展開で行くと、アイドル一人ひとりにスポットライトを浴びる機会がどうしても少なくなる。それは仕方ないこと。
「ユニット」に集中できていればの話だが…
アイマスの「ユニット」問題
アイマスの中で、どのブランドもユニットは存在するが、最初から固定のユニットで売り出すブランドはSideMとシャニのみ。
765ASは言わずもがなソロ体制で、シンデレラとミリオンは数々のユニットがあるものの、色んなアイドルで様々な組み合わせを作るスタンスでユニット組んでいるため、また「個」の色を強く出していて、ユニットがメインと言えない判断。
シャニはエムと同じ固定ユニットを主軸にするブランドでありながら、ゲーム内のプロデュースシステムはアイドルのソロ活動についてかなり触れているため、個人とユニット間のバランスが非常に上手く取れてるように見えるが、SideMと同じように「ユニット」問題を直面している。
その問題を語る前に、まず皆さんに「アイドルマスター」というコンテンツを構成する要素「ライブ・音楽・ゲーム」を知っていただきたい。
アーケード時代から、この三つの要素が強く関連しあっていて、ゲームの曲をCDに発売、またはCDの曲をゲームに実装、そしてライブで披露。
10何年間この流れを止まることなく、次第にほかのコンテンツが模倣するパイオニア的存在とも言える。
そのほかアニメ・漫画・イベント企画発、またはゲーム関係なくのCD単体発売といった特殊ケースも。
この三つの要素を、「ユニット」が一体どう影響していくか、またはどう影響されてくか、自分なりに感じたものを話したいと思う。
まずはライブから。
「ユニット」揃えない
事前収録のゲームとCDは、声優さんがどれだけ忙しくてもスケジュール調整すれば問題なく収録できる。
しかしライブは「生のパフォーマンスと歌披露」。
キャラクターの歌唱が声優が担当している以上、キャラクターを演じる声優さん本人がライブに出させる必要がある。
声優さんが人気であればあるほど、アイマスのライブに参加する回数が少なくなる。
それは声優さんが忙しくてスケジュール抑えるのに大変なのか、他に何かの理由で出演できない・しない判断なのか分からないが、結果として「ライブに居ない」という事実あるのみ。
(もちろん体調不良などはこれに当てはまらない)
無論声優さんは本物のアイドルでなく、あくまでそのキャラクターを演じる演者にすぎない。アイマス以外の仕事もあり、このコンテンツのためだけに時間や心労を費やすわけにはいかない。
ファン側もまた、声優きっかけでキャラクター好きになってライブ観るようになった人もいれば、キャラクターだけ好きで中の人にそこまで思い入れが無い人もいる。
だから声優に毎回のライブ出演を求めるのは違うと思う。
しかし声優によるキャラクターライブは声優がキャラの代わりにステージ上に表現すること。逆に言うと声優さんがライブに出演しなければ、演じているキャラがステージ上に居ないこと同然。
同じ存在ではないと分かっていても、ステージでのパフォーマンスを観たとき、その着ている衣装その声、どうしてもキャラのことを連想させてしまう。
これこそキャラクターライブの良さでもあり、弊害でもある。
これはSideMとシャニに限らず、アイマスどのブランドにも見られる現象。
よってライブのときオリジナルと異なるメンバーによる歌披露は割と普通に見られる。近年の765AS、シンデレラとミリオンのライブに参加した人なら誰もが一度はそういった場面観たことあるはず。
だがユニットを単位に売り出すエムとシャニにとって、これは由々しき事態だ。
先述した通り、765ASはソロ体制で、シンデレラとミリオンは「個人 → ユニット」と言うのならば、SideMとシャニは「ユニット → 個人」。
この2つのブランドに限って、ユニットの存在は時にアイドル個人よりも重要な位置にある。
最初からユニットベースで活動しているこの2つのブランド、たとえゲーム内にどれだけソロ活動について言及しても、リアルライブになると必ず「ユニット」単位に戻る(ライブイベントの度にユニット単位で表示される)。
彼らは独立したアイドル以前に、ひとつのアイドルユニットに所属しているメンバーの1人で認識されている。
「ユニット」の特性は、独立した個人ではなく、特定複数人の集合体であること。
その特定複数人の「ユニット」を強調しながらも、ライブのとき全員揃えないことが一番の問題。
いくらユニット新曲出していても、肝心なメンバーが揃わなかったら、一体誰がそのユニット曲を歌う?
5人ユニットの曲が3人歌唱になり、3人ユニットの曲が2人歌唱に、次第に常態になっていく。果たしてそれは本当に「ユニット」と言えるのか。
まして現在ゲームと音楽面はユニット活動を主要方向としているSideM、ゲームと音楽がどれだけユニットについての描写があれば、ライブ時の虚しさがどれほど大きい。
「ゲーム内のユニットイベントにこんな会話が…」
「〇〇ユニットのこの新曲が…」
「でもライブでユニット全員揃ったのが4年前」
固定ユニット本来の強みである「安定感・結束力」が、年に一度のライブが開催する度に崩れていく。
可能であればもちろん「16ユニット全員集結」のライブ観てほしいが、それが無理ならばせめて「それぞれのユニットメンバーが揃う」ライブが欲しい。
だから7thライブが珍しく4日分けて開催すると知ったとき嬉しかった同時に、やはり運営もユニット揃えないことに危機感、あるいは限界を感じているのではないかと思った。
たとえ公演で全ユニット揃えたとしても、限りある時間の中1ユニットが披露できる曲数はせいぜい2曲。
キャストにとってもバックステージでの待ち時間のほうが長いし、その2曲だけのために割く練習時間もかなりコスパ悪い。
(6th 東京Day 2のとき1曲しか披露できなかったユニットを考えたらまたイラッときた)
だが現実はこのように、最初から全員揃えるユニットは3つ、4つだけで、他のユニットはいつも通り揃わない状態で追加待ちになっている。
その後追加発表でやっと揃えたユニットもあるが、最初からそれを公開できないほどキャストのスケジュールを確保できてない同然。
ユニット重視の構成でライブをやるには、もはやこの方法しかない、と思っていたのに…
これでもユニット内全員揃えられなかったら、いよいよスケジュール合わない声優さんの空きが出るまで待つしかないだ。
あの売れっぷりからすれば何年待つ必要あるのだろうか……(某元教師ユニット1人も初期発表面子にいないことに驚きながら文を書いてる。)
次に音楽の話をしよう。
ユニット音楽展開の矛盾
ユニットが主軸である以上、固定ユニットを基に音楽制作する方向は正しいと思う。
シャッフル曲を出すことは、確かにいつもと違うメンバーで新鮮さ感じられるが、出すタイミングが間違えると微妙な結果を残してしまう。
実際2017年リリースされた、アイドル46人によるシャッフルCDシリーズ「WORLD TRE@SURE」は個人的にファンからあまり評判良くなかったと感じた。
企画自体はゲーム内のイベントと連動するもので、待望のゲーム発新曲、本来であればコンテンツを盛り上げる要素のはずだったが、CD発売スケジュールの関係か、曲がゲームに実装された日から発売まで2ヶ月の時期も空いてしまい(+先行配信なし)、本来一番盛り上がるはずだった時期からだいぶズレてて、発売日までに熱がとっくに冷めてるのも無理がない。
またオリジナルメンバーによるライブ披露は前半しかできてない中、シャッフルメンバーのため歌披露するにあたって全員揃うの難しい上、各国をテーマにする曲は普段の周年ライブセトリに置いてもかなり浮くため、今後また披露できる日が来るかも疑問に思う。
もうひとつの評判悪い原因は曲出すペースが遅すぎる(2ヶ月に1曲)上、2018年4月から2019年の12月まで、21ヶ月の間ユニット曲を出さなかったことに関係あるかと。
当時(3rdツアー前後)アニメ組と後発組の参加曲数格差で、ファンから「シャッフル曲作る暇があればユニット曲作れ」の意見をよく見かける。
一番ひどい時期は、全体曲とソロを除けば、参加曲数の多いユニットは8曲もあり、少ないユニットは2曲しかない。
一方、同じ期間中に同レーベルのミリオンとシャニはリード曲+カップリング曲+ドラマパート収録のユニットCDそれぞれ13枚と9枚を出している(つまりユニット曲26曲と18曲)。
あまつさえサービス開始2年も経たずに、シャニ初期ユニットの曲数が既にSideM後発組ユニットの曲数を越えていたという結果に。
シャニは人数とユニットが少ない分、CDのローテーションが速いのは仕方ないことだが、39人(AS加えて52人)もいるミリオンから二度目のユニットシリーズが制作・発売されてるのに、SideMがいつまでも2ヶ月に新曲1のスローペースで曲を出していた。
もちろんブランドごとにそれぞれの方向性、または考案企画との連携があるわけだが、同じコンテンツのブランドとして似てる部分も多いなか、どうしても比較になってしまう。
一応期間中に属性曲3曲、モバエム連動曲のべスゲ2主題歌と4thアニバの全体曲2曲を出しているが、ユニットを売りにしているコンテンツにしてはバランスが悪すぎる構成。
確かに固定ユニットが長く続けていくと、偶には目新しさが欲しくなるが、5周年になってもユニット曲3曲しかないコンテンツに、その「新鮮さ」は流石に少々早とちりしすぎた。
もしWTシリーズとNSEシリーズの発売時期が入れ替わったら、それこそ新鮮感の目的を果たせたかもしれない。
それもまた結果論で、アニメの勢いに乗ってエムステを出していなければ、モバエムの売上で5周年までに耐えきれるか、そしてエムステがシャッフルメンバー方向で運営していなければ、当時の資源で上手く各ユニットに分配できるのか… 全ては運営のみぞ知る。
結局そのタイミングで出せる楽曲は、ゲームに沿ってシャッフルメンバーによるWTシリーズだった。
かと言ってずっと「ユニット」方向専念で音楽を制作するわけにもいかない。
ライブ部分でも書いた通り、ユニットメンバーが揃えなかったなか、これ以上固定ユニットの曲を増やしても歌う人がいないのが問題。
「ユニット」売りを気にかけなければいけない同時に、「ユニット」への依存をしすぎるのもダメってのがSideM音楽展開の一番矛盾しているポイント。
幸いこれからリリースされるEPシリーズにはソロ曲とユニット曲があり、来年の9月までにはバランスのいい曲提供が続けられる。
いつまでも変わらない固定ユニット作詞担当もEPシリーズを機にちょっと動き始めて、音楽面の新しい可能性が見えてきた。
今後はユニット曲以外にユニット間の合同曲も増やしていけたら、ライブのときメンバー揃わなくても披露できる曲が増えるだろう。
10周年に向けて音楽展開は安泰な日々過ごせそうだな(希望)。
ゲームでの「ユニット」表現
現在運営中のmobage版「アイドルマスターSideM」(モバエム)、そしてアプリゲーム「アイドルマスター SideM GROWING STARS」(サイスタ)、及びサービス終了してしまった「アイドルマスター SideM LIVE ON ST@GE!」(エムステ)。
この3本のゲームには、それぞれの「ユニット」像があると思う。
まずはモバエム。基本2・3ユニット(5人ユニットは箱イベも)による合同イベント、もしくは違うユニットから5・6人のアイドルで構成されるシャッフルメンバーでイベントを行い、7年も運営していてイベントの無い日がほぼおらず、SideM始まりの場所。
合同イベントでユニット内・他ユニットとの繋がりを、シャッフルメンバーイベントで事務所内ほかのアイドルとの関係性を表したり、SideMemoriesでアイドル個人の仕事を語ったりして、アイドルを個人とユニットの間に程よいバランスで描写している。
ユニット合同イベントはユニット内のメンバー1人に焦点を当てることが多く、それを踏まえてユニットメンバー同士の会話で関係性を見せていくスタイルだと思う。そして数多くのイベントを経て、メンバー同士の関係性でユニットの色を構成していく。
近年は「原点回帰」に思わせるイベントが多く、焦点に当てられたアイドルのルート、または彼らの理由(ワケ)部分を触れ始めたことで、アイドルたちの思いや心情をより鮮明に表せてると思う。
流石に人間作りの上手いアイマス。
エムステはユニット各自の話あるものの、モバエムと差別化したいのか不明だが、基本的にシャッフルメンバーのイベントしかなく、主軸となるメインストーリーもまたボリュームが少なく、ユニット色の少ないゲームだった。
その代わりに今まで見たことない組み合わせを見せたり、味わったことない新鮮感が出せたりして、アイドル個人を主体となる部分が多く、一部のユーザーにはウケがいい傾向もあった。
ただ「ユニット」売りにしている以上、モバエムと違い、ずっとシャッフルメンバーで行ったイベントはどうしても「ユニット推し」の対象外感が強い。
結局「ユニット」の立ち位置が不明瞭なままゲームがサービス終了を迎えた。
サイスタはこの2つのゲームの経験を生かし、メインストーリーとイベントをユニットに集中しながらも、時にシャッフルイベントを挟み(エムステのイベントを再利用+属性曲のシャッフルイベント)、時にエピソードゼロやアイドルエピソードでアイドル個人の話に焦点を当てて、今のところ割と良いバランスになっているのではないかと思っている。
またサイスタには、他のゲームが今まであまり出せてなかった強みがある。
それは音楽との連動で新曲の印象付け、既存曲の補完・強化、3DMVによる擬似ライブ体験・アニメ体験、そして何よりアイドルの声が聞けるところだ。
これはユニットにとってもかなりいい影響を与えているはずだ。
これまでの楽曲を振り返ってみれば、ゲームシナリオと関わりのある楽曲は、モバエムのパッション大作戦制作楽曲とエムステのWTシリーズのみ。
今までゲームと音楽・ライブの連動が少ないためだけに、ゲーム内のユニット描写は特にライブや音楽に反映することがあまりない。
悪い言い方すると、別にゲームがあってもなくても音楽とライブに影響はない。
言うて必要か?
確かに今まで通りゲームはゲームで楽しむ、ライブはキャラを演じる声優さんのパフォーマンスとして楽しんでいれば別にその部分繋がらなくてもいい気がする。
また新ユニットのC.FIRSTがいつまでもモバエムに追加されず、モバエムとサイスタの世界線が完全に違うものからすれば、それをライブに落とし込むのもいささか問題になる。
しかしゲームが音楽・ライブとの連動がやはりユニットへの働きが大きいと個人的に思う部分がある。
それはゲーム内シナリオにボイス付くかどうかだけで、大きな違いがあるんじゃないかと。
声優さんはアイマス以外にも様々な作品に声を当ててるため、ゲーム台詞の一つや二つを録るだけで記憶に残るものがどうしても限りはある。
しかし「シナリオの収録」は違う。キャラクター間の会話を最初から最後まで理解し、内容を噛み砕かないと、声の抑揚と緩急に影響出るため、一時期だけでも必ずシナリオを頭ん中に入れとかないと出来ない。
それを加えてサイスタのイベントはユニットベースの話なので、ゲーム内会話の相手は必然「ユニットメンバー」になる。そのイベントシナリオの収録を積み重ねると、声優さん自身が演じているキャラクターと、ゲーム内に会話するユニットメンバーの理解度も自然に深まるだろう。
さらに言うとライブでイベント関連の曲を披露するとき、シナリオを基づく曲の表現とステージの演出にも繋がるかもしれない。
ゲームをプレイしているユーザーはもちろん、プレイしていなくとも、キャラを演じている声優さんもある程度は共感できるではないかと思う。
だからこそ何年もずっと「ゲームに声優さんの音声を入れてくれ」「CDにボイスドラマを作ってくれ」と言い続けるわけ。
キャラを演じるだけで、声優さんにギャラ発生するし、ファンも供給がもらえる。
WIN-WINの関係だ。
「ユニット」に拘る理由
ここまで書いて、パッと思いついたことが一つ。
何故SideMはユニットに拘る必要があるのか。
それは恐らく「男性アイドル」だからでは無いかと、個人的に思ったことを少し書いてみた。
「男性アイドル」を特筆する理由を言うと、こちらの対談記事に書いたように、SideMは元々「女性のプロデューサー」をターゲットにしているからだ。
──本作のターゲットの中心である、女性でありプロデューサーさんでもある層の印象などを教えてください。
坂上:元々『アイドルマスター SideM』を作る時、社内の女性スタッフたちを集めて、女性ファンが今求めているものは何かを考えていたんです。いろいろな切り口があるとは思いますが、その中で作品のベースになったのは男の子同士が友情を育む姿はとても魅力的だということですね。
もちろん性別関係なく、誰もが好きになれるコンテンツが一番喜ばしい話だが(実際SideMは全人類向けだと思う)、メインターゲット層はやはり「女性」で違いない。
鳥羽:僕たちも最初は、「女性に向けて制作した方がいいのだろうか?」と考えていた部分があったのですが、それは必ずしも正解ではないと改めて気づきました。男性であろうと女性であろうと「まずプロデューサーである」ということが前提なんです。
坂上:いわゆる女性がメインターゲットになるタイトルの中では、イベント会場の男性比率が高いコンテンツでもあると思います。
ターゲット層が女性であることを決まれば、自然とユニットを単位に売り出す理由にも繋がる。
多分その選択肢しかなかっただろう。
日本のアイドル歴史に触れると長くなるので色々省くが、簡単に言うと2000年代以降ソロアイドルがほぼいなくなり、代わりにアイドルグループが主流になっている。
言うて女性アイドルプロダクションのハロプロと48グループがユニット多数存在している中、グループ内アイドル個人での活躍も顕著に見られる。
しかし男性アイドルはそうにならなかった。
男性アイドルと言ったら誰もが名を挙げる、主にグループ(ユニット)方法でアイドルを売り出すあの大手J事務所、70年代から今日までずっとこのユニット形式で売れ続けてきた。市場独占とも言えるくらい。
女性が好む男性アイドルをモデルとして参考できるサンプルがJしかいないとも言える状態の中で、新しいもの(ソロ体制の男性アイドル)を作るリスクはあまりにも高い。
何よりアイマスというブランドを背負わせるにも、失敗(短期間内に企画倒れ)は許されない。
実際今ある二次元男性アイドルコンテンツを見れば分かるが、最初からユニットとして出して、そこから個人に焦点を当てるパターンがあっても、逆の場合はほぼ見られないこと。これが正解だ。
アイマスであることについて
そんな男性アイドルに王道だったはずの「ユニットシステム」がどうしてSideMの課題に?
理由としては、アイマスだからなんじゃないかな。
先程書いたアイマスを構成する要素「ライブ・音楽・ゲーム」。一つでも欠けたらアイマスでなくなるわけじゃないけど、今この流行り廃りの早い時代までに続けてきたのも、この3つの要素が噛み合ってるからこそ得た成果だと思う。
そもそも声優を起用してキャラクターの代わりにステージ上に立たせてライブパフォーマンスをするコンテンツはあっても、10数年以上続けさせたのがアイマスだけ、と言っても過言ではない。
ほかのコンテンツを見れば、世代交代で違うブランドでライブをしたり、事前用意したCGによるキャラクターライブにしたり、プレスコで生のアクターによる3Dライブを行ったりしてて、色んな形でライブを作っている。
これはもちろんひとつの解答だが、声優さんによるライブパフォーマンスだからこそ持ち出せる魅力もあるので、まさにアイマスの持ち味と言うべきだろうか。
SideMに関して、音楽とゲームだけならば「ユニットシステム」が問題になる部分がほぼなく、強いて言うならばアニメを先発組ユニット起用することで生み出されたユニット曲数差かもしれない。
実際ライブの部分を省けば上に書いた課題の数々が全て解決できるまである。
しかしその持ち味であるライブをなくせば、音楽とゲームだけでコンテンツ続けられるかと言うと、流石に疑問に思うし、アイマスでなくともできることだ。
ではSideMをアイマスなくせばどうなる?とても考えられない話だと自分は思う。
SideMの始まりはどこから?と言えば、アイマス初の男性アイドルユニット「Jupiter」から言わなければならない。
そしてそれを生み出したのが「アイドルマスター2(ゲームジャンル:アイドルユニットプロデュース)」。
──『アイドルマスター SideM』はアイドルマスターとして新しい流れであると同時に、Jupiter(ジュピター ※2)はXbox 360用ゲーム『THE IDOLM@STER 2(アイドルマスター2)』(2011年)で初登場した、765プロの歴史につながるユニットでもあります。
坂上:それはすごく感慨深いですね。でも『アイドルマスター SideM』を最初に構想した時は、そもそも『アイドルマスター』というタイトルをつけるかどうかも迷ったぐらいなんです。だから企画立ち上げ時点では、Jupiterを登場させることありきではありませんでした。彼らを出そうというのは僕発信ではなくてですね、スタッフの中から自然発生的にJupiterを出したい、彼らの物語をきっちり描きたいという声が上がってきたんです。こういう形でコンテンツが広がって、過去の作品とつながるようなことがあるんだなと思いました。
こう話を読めば、「最初にJupiterを入れなければ、アイマスを無くしても別にいいのでは?」と思う人がいるかもしれない。
しかし「Jupiter」はSideMの核となる部分、また成長と深く繋がっているユニットだ。
「理由(ワケ)あってアイドル」、これこそアイドルマスターSideMの最も重要な部分かと。
その理由がアイドル一人ひとりの過去であり、現在アイドルになった理由でもあり、未来へ進むべく理由でもある。
Jupiterの「961プロから脱退」という極めて特殊な前例あってからこそ作り出せたSideMのテーマなんじゃないかと思う。
いやいや、流石にJupiterを評価しすぎたのでは?
実際アニメのプロデューサーは彼らのライブパフォーマンスを観て「アニメをやろう」と決めたのが記事に書いてあるので、SideMにとって大きな一歩を決めさせたことは間違いないということ。
鳥羽:ステージでのキャスト達のパフォーマンスが、初めの頃よりずっと上手くなって成長した姿を実感しました。また、ここに至るまでのレッスンも何度か拝見していたので、これをアニメで再現できたら面白くなるぞと思いました。更に、この日のJupiterのステージと、トークでのメンバー3人の想いのこもった言葉と涙を見た時に、「アニメをやろう!」 これは自分たちにしかできないことだと思ったんです。765プロのアニメ『アイドルマスター』にもJupiterは登場したんですが、彼らの扱いについては当時、錦織敦史監督と相当話しあって気を使いました。
でも扱いが難しいキャラクターだからこそ、ちゃんと出さないといけない。そして、彼らが961プロと決別するまでを描いたんです。そして、今作でその続きを描けるかもしれないとなったら、それは僕らが引き受けないといけないと思ったんです。
そしてその何年も前にキャラの声を当てた声優を続投させて、ライブを開催したのもまた「アイマスだから」こそ成立する話だ。
アイマスというブランドの力がなければ、今日までSideMが続けられていないだろう、と個人的に思っている。(かと言って運営がやってたことがすべて正しいとは言ってないので勘違いしないように)
既存課題に対する解決方法
先述通り、ライブ部分こそがユニットシステムの問題点が露になる部分だ。
せめてライブの時だけでもユニットメンバー全員揃う。それが最低限だと思う。
シャニのようにユニット対バン形式のライブはかなりいい方向だと思う。SideM的にそれを実現できるかと言うと、可能性はある。
…が、いまSideMの演者さんの売れっぷりを見るに、かなり前の時間にスケジュール抑えないと、いつまでも出演できそうにない人がほぼ各ユニットに1人いるような状態なので、運営頼りとしか言えない。
一応オリピやWTシリーズ形式でシャッフルメンバーによるCDを出したら、一時期的にユニット問題から逃がれるが、「ユニット」をメインに置ける以上、いずれまた同じ問題を直視しなければならない。
ほかコンテンツを模倣してバーチャル空間でライブを行い、またはVR技術を用いるライブ(765ASのMR ST@GEを参考)であれば、ある程度の問題解決になれるかもしれない。
実際先月公式チャンネルに上げられたこの動画を観れば、可能性としてはありだと思う。
加えてこの間実施された315パッションアワーにてアイドルの3Dモデルを使用して、アイドルによる番組を実行する例もあって、今後もっとこういう形で声優だけでなく、アイドル本人から番組出演できるようになったら、活動の幅も広くなるのであろう。
ただ問題はモデルひとつ作るための費用が結構かかる部分が心配点。
クオリティー重視でモデル作り出すと、莫大なコストになる。あまりクオリティーがないと、持ち出すのも見苦しい…
もちろん300人以上もいるアイドルの全員分をモデル制作するわけにはいかないが、ある程度選び終えても、あの動画みたいな高クオリティーモデルを何十人分も用意するのは、さすがに無理がある。
まだ試行段階とはいえ、バーチャル空間でライブやることを目標にするには、だいぶ時間がかかりそうだ。
終わり
読み返すとかなりの分量あるなこれ…
流れを読んでいたらわかる人いるかもしれないが、この記事は元々年始の6thツアー東京終わってから書き始めていた。
ここまで伸ばしたのは、もちろん新情報が出てから添削をしたり、読み返して文法的に間違った部分や読む側が勘違いしそうなフレーズを書き直したりしてる部分もあるが…
単純に自分がいつまでも記事を書くの怠くてずっと引き伸ばしたのが原因だ。
あと他に理由あってやっと書く時間と余裕ができてしまったからのもあって、ようやく7ヶ月をかけて終えることができた!
まぁ読む人いるかどうかはさておき、自分が決めたものだから、ちゃんと書き終えたことにちょっと使命感達成した気分になった。
(なお他にも何個かの記事が半年以上溜まってるまま動いてない)
次にSideMに関する記事を書くとしたら、多分今後の展開予想か、10周年関連になるのだろう。
他にもっとビッグなニュースが出てきたらまた書くかもしれない。いいニュースだといいな。