ヴイアラはアイマスにどう影響を与えるか

今回の記事が話したい内容は『ヴイアラはアイマスにどのような影響与えるか』であることを確認した上で記事読んでいただけると幸いかと。

ヴイアラにそこまで詳しいわけではないVTuber履修済みのアイマスP(SideMメイン)が好きなだけ書く文章。ヴイアラが気になってる人には申し訳ないけど、アイマスについて語る部分がどうしても多くなるのでご了承ください。あとメタに許容のある人向け(中の人言及)という点も注意。

 

アイドルをいつまで演じ続けられるか

最初からこの問題を切り込むの、人の心とかないんか?けど今後のアイマスを語るにはどうしても直面しなければいけない問題だ。

SideMの声優はオーディションのとき「10年は続けられますか」と聞かれたことあると聞いた。

声優にとって同じキャラクターを10年も演じることは何を意味するか分からないが(実際ご長寿アニメのキャラを演じる声優さんは10年どころか、20年30年もいらっしゃるので)、いまの時代になかなかないものではないかと思っている。

エヴァみたいに最後の最後まで主役達が当時のキャスト全員そのまま使うこともあれば(本当にそうであるか分かんない程のにわか)、セーラームーンみたいに主役枠の三石さんしか残ってない場合もあり、リメイクで声優全員交代される場合もある。そもそもアイマスというキャラクターコンテンツがそういったアニメ基準に当て嵌めるかも疑問。何せここまで長く続けられるキャラクターコンテンツあまりないからだ。

 

今2023年までにアイドルマスターのアイドルキャスト変更は自分の知る限り3件(萩原雪歩、九十九一希、三峰結華)しかなかった。20年近く続いてるコンテンツ200人以上もキャストがいる中で、体調不良で休養した時期があるとはいえ、身体的状況でキャスト交代・降板することはまだなかった。

しかしキャラの声を担当する声優が歳を重ねるにつれて、今後ライブやイベントに出演できなくなる可能性だってある。きっと我々ファンよりも運営のほうがずっと前から気になっていることだろうし、色々手掛けているはずだ。

もしかしたらPROJECT IM@S VISION 3.0発足の理由のひとつでもあるかもしれない。

 

PROJECT IM@S VISION 3.0の実現

f:id:krmr_chat:20231128175354j:image「アイドルマスター」シリーズ初のカンファレンス 「PROJECT IM@S(プロジェクトアイマス) カンファレンス」開催! | お知らせ | バンダイナムコエンターテインメント公式サイト

以前PROJECT IM@Sカンファレンスで765プロダクションのゼネラルマネージャー波多野氏がアイマス今後の展開を見据えてた3.0 VISIONのテーマは「アイドルプロデュース体験と複合現実の融合」と言っていた。

そのテーマを挑戦するにあたって、「リアルでアイドル活動」と「デジタルを活用したプロデュース活動」が重要な項目とし、それぞれ対応するものとしてMRプロジェクトアイマスポータルが挙げられている。

 

まず「リアルでアイドル活動(MRプロジェクト)」について、こちらのイメージPVを観れば分かるが、アイドルに商品のCMを担当させたり、ランウェイを歩かせたり。メディアミックスの延長線とも言えるが、これまでの「キャラクターコンテンツの商品コラボ」に限らず、“アイドルの実在感や実存性”を高めていくために「アイドル本人がサービス・商品の宣伝担当になる」ようなことを狙って展開していく。

デジタル面では、実例として3DCGモデルを利用して様々なイベントに参加させた。BANDAI SPIRITS主催の「TAMASHII NATIONS」のアンバサダーを担当して番組MCをしたり、「S.H.Figuarts T.M.Revolution」の発売記念に行われた配信ライブのゲストアーティストになったり、先日開催された東京ゲームショウバンダイ主催配信番組アンバサダーを担当したり。どれもバンナム元の企画ではあるが、アイマス以外のところで着実にアイマスのキャラクター・アイドルを宣伝担当として使い始めている。

リアル面では、これまでの企業コラボ同様グッズ展開する部分がありながら、これまでの企画とは違うアプローチ(アイドルたちをキャラクターではなく、リアルに存在する体)で行われている。例を挙げると放課後クライマックスガールズと環境省のコラボや、315プロダクションと銚子電鉄のコラボ。以前は「アイドルマスターの〇〇というキャラクター」で呼称していたが、今は「〇〇プロダクションの〇〇さん」と呼んでいるコラボ先も多く見かける。

 

デジタルを活用したプロデュース活動(アイマスポータル)に関してはこれまでの「アイドルマスター公式ブログ」からアップデートし、すべてのアイマス情報を集まったポータルサイトとしてプロデューサー同士の交流場所と目指しているようだが、現時点それほど目を光らせるような機能やサービスがまだ見られない。

ヴイアラ以外唯一とでも言えるくらいアイマスポータルを活用できている既存ブランドと言えば、ゲームコンテンツがなくなったSideMだ。過去ゲーム作のストーリーを読み返したり、新たなストーリー展開もポータル経由で行われている。それも確かにデジタルを活用するプロデュース活動と言えるだろう。

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そのリアルとデジタルの融合は、SideMの「315 Production presents F@NTASTIC COMBINATION LIVE(ファンコン)」とそれを連動する「315 PASSION CONTENTS」が最たる例ではないかと。

ファンコンでは3DCG(MRプロジェクト)を使ったライブイベントを開催、315 PASSION CONTENTS(アイマスポータル)ではストーリーの提供でアイドルのプロデュースを体験させる。

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ここまで読んでいくと今後アイマスの展開を予想するのに難しくないのであろう。

これまで声優さんにライブ出演させてもらうことでファン(プロデューサー)に「アイドルがステージ上にパフォーマンスしてる」疑似体験をさせてきたが、言い方悪いけどアイドルを一時的に降ろしてるまがい物状態で、声優が100%アイドル演じきれる訳にもいかなければ、観ているファン(プロデューサー)も声優のことをアイドルとして扱いきれない。

それはそれで「声優ライブ」の文化として育ってきたので、これまでのアイマスにとっては欠かせないものと言えるほど大きくなっているコンテンツだ。

 

それを続けて約20年、技術の発展でアイマスがやっとアイドル本人をステージ上に立たせた。

実は3DCGライブは2018年頃から既に765ASのMR ST@GEで観測できた。

3DCGライブのいいところは、キャストが表に出さずに、より良いクオリティーのライブパフォーマンスがファンに提供できること。

モーションアクターがアイドルのモーションとダンスを担当、声優がアテレコでアイドルの声を演じ、歌はCD音源、ステージセットは基本モニターのみ、更にライブ用の映像や照明演出を加えたら3DCGライブがほとんど出来上がり。まさに適材適所。

SideMのファンコンのような事前収録完全映像作品もあれば、765ASのMR ST@GEみたいなリアルタイムARライブもある。

その違いはどこにあるかと言うと、収録3Dライブは事前にモーションアクターの動きを撮影してから声優に声を当てる、または声優が先に台詞を収録してからモーションアクターが声に合わせて動くことで、都合上片方のスケジュールが合わなくても収録に支障が出ない。そして収録だからこそよりこだわる映像と演出が画面上に表示できること。

ARライブはモーションアクターの動きをリアルタイムでトラッキングし、アイドルの3Dモデルを投影する。そして声は声優さん本人がステージ裏で動きを合わせて生で当てている。声優本人が裏にいるため、モニターを通して現場にいる観客の反応が見えていたり、観客の見た目や服も確認したりすることで「直接」ステージ上に声かけすることが可能。さらにアイドルの表情を台詞に合わせて変えるようスタッフの即時対応もある。

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アイマスは3Dライブの仕組みについて画像出してないので、ここは他所のを借りて説明することにした)

 

実際声優ライブは「声優」という要素に制限される部分が多い。声の演技が続けられるとしても、ライブできるほどの体力持たなかったり、体に負担かけてしまったりする部分を考えたら、「声優出演なしでライブが実行できる代替案」がどうしても視野に入る。いや若林さん48になってもバリバリ踊れてるじゃん!では5年後は?10年後は?本人が出ようとも運営はそんなことさせるはずがない。

完全移行でなくとも、今後のコンテンツ展開でこのような形を多用するイベントやライブ開催になるのであろう。

現に765ASは少しずつイベント形式をMR方向にシフトしていく気がする。以前配信された「高槻やよいのプレミアムもやしパーティー」や先日の「萩原雪歩の穴掘り3番勝負」、来年開催される「菊地真萩原雪歩 twin live “はんげつであえたら”」も3Dモデルを使う配信番組・ライブイベントになっていることから、その傾向が見られる。

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765ASとは少し状況が違うので、ゲームのないSideMは今後同じくMR方向でイベント開催するかどうかまだ分からない。しかしこれまで声優ライブで声優の都合やスケジュールでユニット全員揃えない問題をずっと抱えてるので、もしこれ(MR)で全員揃った形でステージ上に曲披露できるのであれば、個人的には大賛成だ。

 

ヴイアラ、アイマスアイドルの養成所か

ここまで来てやっとヴイアラの話をする。もしやタイトル詐欺?まあまあ、落ち着けって。ちゃんと話繋がってるので。むしろここから長くなるから覚悟しといてください。

 

VISION 3.0とヴイアラに何か関係あるか薄々気づいてる人もいるかもしれないが、まずヴイアラについてちょっとばかり紹介させてもらうぞ。

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ヴイアライヴプロジェクト(ヴイアラ)、波多野氏によるとアイドルマスターが市場改革に向けてライブストリーミング発、MRプロジェクトを特化するコンテンツ。

公式からの説明は「配信活動を通して、アイドルに必要なスキルを磨き、トップアイドルを目指すアイドル育成バラエティ」で、期間内にプロデューサーの支持獲得できたらアイドルとして昇格、そうでなければ活動終了というルールが設けられている。

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「支持獲得できなければ活動終了とは何ぞや!」とか「バーチャル蠱毒再来!」とか最初の発表会で説明受けた時思った人もいるかもしれないが、バーチャル蠱毒に間違った認識してる人は無視して、支持がもらえなければ消えることは間違っていない。

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具体的な「支持」の指標は、この間発表された「デビュー権獲得条件」から確認できる。票数5000以上の候補生のみがデビュー権獲得できるため、5000票以下の場合は活動終了になる。

活動終了という状況は一旦置いといて、もし候補生の3人が来年正式デビューできると仮定し、その後どうなるのかの話でもしよう。

 

実はヴイアラ発表当時、プロジェクトに「企画参加者はいつか既存ブランドのタレントとして所属するか、新しいブランドの新人アイドルとしてデビューするか」という展望が書いてあったこと、皆さんご存知であろうか?

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候補生の活動が始めて半年以上経った今、運営がまだ同じこと考えているか分からないが、もし展望通り今後アイマスブランドのタレント拡大が本当にこの形式で展開するのであれば、確かにMRプロジェクトの本意である「アイドルの実在感や実存性」に繋がるのであろう。

 

これまでヴイアラの活動:雑談配信、ゲーム実況、歌枠、動画投稿、ラジオ番組配信、バンナム発イベントゲスト出演、PR配信、そして先日3Dお披露目行われてダンスパフォーマンスもできるようになった候補生たちが、まさにアイマスVISION 3.0が目指す目標である「アイドルプロデュース体験と複合現実の融合」を体現するそのものだ。

直接アイマス既存ブランドのアイドルたちの活動に置き換えられるかと言われると難しいかもしれないけど、イベント出演や歌とダンス、ラジオ番組出演や商品のPR、所々かなり近い性質の内容ではないかと個人的に感じてる部分が多くて。

 

しかしヴイアラの候補生たちは本当に既存のアイドルと同じ舞台に立てるかについて、まだ疑問を持っている。その理由を語る前に、ヴイアラのアイドル候補生たちはアイマス世界における立ち位置を知ってもらいたい。

ヴイアラの候補生はいわゆるアイマス世界にいる既存ブランドのアイドルがプロデューサーにスカウトされて、オーディション状態にいるデビュー前のアイドル。現実にいるとハロプロ研修生、AKB研究生、元ジャニーズ事務所のジャニーズJr.に該当する者であろう。

今の候補生の活動を少し観察してきたが、アイマス世界のアイドルを「○○さん」と呼称している辺り、既存ブランドのアイドルを同じ世界にいる実在の「先輩・有名人」的存在として捉えている。つまり候補生はアイドルマスターという世界観にいる存在だってこと。

ではもしいつの日か候補生たちが無事デビューできた場合、我々ファン(プロデューサー)は候補生をアイドルマスターというコンテンツのアイドル(キャラクター)として扱えるか?

 

ここでまた別のベクトルについて話さなければいけない。それはVTuber」の概念だ。

 

ヴイアラ = アイマスVTuber

これまでヴイアラの候補生を「アイマスのアイドル候補生」として認識していたが、この候補生たちは他に「VTuber」という身分を持っている。

VTuberは二次元キャラ外見を使用する活動者で、彼らが使用している二次元キャラ外見はアニメ・漫画・ゲーム作品に出ているキャラクターの見た目と全く違いがない。

主にLive2D技術を用いてYouTubeなどのプラットフォームで配信活動をしており、ある程度体を動いたり表情を見せたりすることも可能。中の人がリアルタイムでその外見を動いて配信するため、視聴者はチャット経由で彼らと交流できる。

キャラを演じる声優と似たような感じではあるが、様々な声で色んなキャラを演じる声優と違って、その1個のキャラ外見だけ演じて活動しているので、世間は一般的にそのキャラ外見 = 演じてる活動者本人という認識。

という、去年私が書いた記事に「VTuber」に関する紹介(個人的定義)の一節をそのまま載せてみた。

 

VTuber」の文化は2016~2017年から始まり、4年前コロナ禍をきっかけに人々がテレワークや自粛期間の関係で家にいる時間が増え、ネットサービスや動画サイトを接触する時間が多くなり、動画サイトが主戦場であるVTuberが段々人々に知ってもらえる機会増えて、今になっては一般的なエンタメとして受け入れつつある状態。

今や大手企業(ホロライブとにじさんじ)のVTuberは普通に大衆向け商品や公共機関とコラボするほど影響力ある「アーティスト・芸能人・アイドル」的存在になっている。

じゃあ同じく大衆向け商品や公共機関とコラボするアイマスのアイドルたちとは何が違う?それは「中の人」が存在しているところだ。

 

VTuberは「中の人」が存在していて、キャラクターの声を担当する声優とは似たような存在とも言えるが、活動するとき中の人は基本キャラ声とその外見による設定だけ守っていれば、ほかの時間は自由にお喋りしていることが多い(設定構わずただ中の人として活動するVTuberもいる)。

これまでアイマスが挑戦してきたアイドルによる配信番組はほとんど事前収録ものであって、ヴイアラの週に何回か1時間以上ずっと"キャラ"を維持する「生配信」とは決定的な違いが存在する。

声優がキャラを演じると違って、VTuberには決められた台本がなく、毎回の生配信でぶっつけ本番、ゴリゴリのアドリブが求められている。それこそが一般的に「VTuberの面白さ」と認識されてる部分でもある。

多くのVTuberは外見が特徴的であるために「キャラ設定」を持ち合わせることが多い中、独特なキャラクター性を活かす活動内容する一方、限りある設定だけで活動を行うことは不可能に近いので、活動者本人が実際日常にあったお話をしたり、普段のリアルな出来事を話題に持ち出したりする辺りから、「この人(キャラ)は実在・身近な存在である」と認識する視聴者も多い。

そんな「自分と直接交流できる身近な”キャラ”」、二次元コンテンツ好きの人には非常に受けがいい。

同じく以前自分の書いた記事から一節。

「二次元コンテンツ好きの人に受けがいい」というクソデカ主語は個人感想なので先に置いといて(二次元の見た目をしてる生身の人間であることに拒否感ある人もいる)、その「即興芝居」のリアリティーは確かにどこか人を惹きつける魅力がある。

ここの「日常にあったお話」「リアルの出来事」はたまに誇張表現が含まれている。皆が皆で面白いエピソード毎回のように出せるわけないから、そういう時は「演技(嘘・誇張)」で話を盛り上がる必要になる。

とはいえ、お話の元ネタは基本彼ら自身が経験したことからよるものが多く、また配信中はリアルタイムで視聴者との交流が求められるため、彼ら本人の中身を多少さらけ出す必要もある。

無論どのような配信番組でもある程度のシナリオや筋書きはあるはず。だが生配信でアニメやゲームみたいに決められたセリフを読むことはきっとないだろう。あるとしてもキャラ設定を可能な限り噛み砕いた上で自分の中に溶け込んで演じること。

 

それって前述765ASのやってたMR ST@GEのようなものではないか?と思う人もいるかもしれない。

形式変わるが、先日天海春香スペシャルゲストとしてヴイアラの公式番組に出演したとき、彼女は3Dの姿でアイドル候補生の3人と「直接」会話していた。

ちゃんと考えて言葉を発したり、表情を変えたりして、番組に映し出されているのは「天海春香」だが、実際コメントをするのは間違いなく「天海春香を演じ切る中村繪里子」であることは誰でも分かりきってることだ。そこは事前に用意されていた台本がなく、春香を20年近く演じてきたからこそ、繪里子さんが台本なしに自然な口調で春香の言葉をそのまま話せたと思う。

 

それでも春香が番組出演するところはほんのわずかの時間でしかなくて、もしそれを1時間や2時間までに伸ばしたら?週に何回も生の配信活動を続かせたら?

アイマス既存ブランドのアイドルたちは制作スタッフやシナリオライターの描かれた設定・ストーリーで作られたキャラクターで、声優はそれらの設定の上に声を当てている。

作品ごとに世界線が変わったり細かい設定が違ったりするところもあったけど、キャラを形成する部分(性格・趣味・一人称・プロデューサーの呼びなど)は簡単に変更できるようなものではない。それを声優が長時間アドリブでアイドル(キャラクター)演じることが、本当にボロ出さずに設定を守り切れるか?

 

アイマスとヴイアラが同じ舞台に立つ可能性

先日開催された異次元フェス歌合戦のアンバサダーとして2大VTuber会社「ホロライブ」と「にじさんじ」からVTuberの2名が任命され、さらに開催記念の音楽番組にそれぞれ担当するコンテンツの代表アイドルと同じステージに立ち、一緒にライブをしていた。

VTuberと声優が同じ番組に出演することは今となってよくあることだが、二次元コンテンツのキャラクターと共演することはなかなか見ないことだ。主にコンテンツとコラボすることで得られるメリットよりもデメリットが大きいのが理由だと思う。

一般的なエンタメとして受け入れつつあるとはいえ、それをよく思われない層まだまだいるのも事実。実際VTuberが流行り出す頃、一部のVTuberが過激な発言や度々の炎上で世間にかなり悪い印象与えられてたことあるので、そう思われるのも仕方ない。

今回色々下準備を行った上でアイドルに他所の企業VTuberとコラボしたが、反対の声はもちろんあるけれども、受け入れる人も見られる。それを他所ではなく、同じくアイマス(展望通り既存ブランドに加わる・新ブランドに加入)所属だった場合、もしかしたらもう少し受け入れやすいかもしれない。

 

アイマスファンが受け入れられるかどうかはさておき、ヴイアラの候補生が既にアイマスのアイドルと共演したことあって、現在3Dモデルも実装されたことで、「物理的同じステージ上に立つこと」は可能であろう。

とはいえ、片方は生身の人間、片方は声優が演じるキャラクター。アイドルとして、生でステージ上の共演は本当に大丈夫だろうか?

異次元フェスの収録音楽番組MCパートを観れば分かると思うが、生身の人間がキャラクターと普通に会話しようとする芝居がどれだけ不自然でわざとらしいかすぐに分かる。何故俳優がアニメ作品のキャラクター声を担当するとき評判が悪くて非難されがちの理由と同じ、声の芝居ができないからだ。百歩譲って本当に声の芝居できるVTuberがいたとしても、それは単なる「役」であって、彼ら自身ではない。

VTuberが声優としてキャラを演じる例はこれまでいくつものあって、バンナム元の「電音部」も実際大手事務所のVTuberを起用している。演技、歌唱、何ならライブにも出演させてダンスとDJパフォーマンスまでできたりする。しかしそれはあくまで「キャラクターを演じる声優」としての仕事であって、どっちかと言うとアイマスのアイドルを演じる声優と同じ存在。

では候補生たちは今後「アイドル」としてステージに立つのか、それとも「アイドル『役』」としてステージに立つのか?そこがずっと自分に引っかかるところだった。

 

こちらの3Dお披露目を観れば分かると思うが、これまでアイマスのどの3DCGライブとも違うところは、モーションアクターが彼女たち「自身」であること。

…活動者本人がモーションアクターとして3Dモデルを動いてるため、普段2Dの姿では見れないところも見れるわけで(例えば全身の動き、立ち姿、手癖足癖)。更に言うと中の人によるダンスと生歌唱、動きの一つひとつはよりその人への解像度が上がる。

中の人の容姿が分からなければ、別にライブのダンスはプロの人に任せて、歌唱も事前録音済み音源使用すればいいのでは?もちろんそれも可能だが、そうするとVTuberのリアルさが失ってしまう。

先程書いたように、中の人が自らモーションアクターとして動くことで解像度が上がるわけで、その拙い歌とダンス(プロ並みのパフォーマンスする人もいらっしゃる)すらそのVTuberを構成する要素のひとつで、一生懸命パフォーマンスしようとする姿こそがファンの心を掴む要因と言ってもいいだろう。

以前書いた記事から(省略)。

今回のお披露目歌唱は収録音源を流す形になっているが、ダンスは間違いなく本人によるものだ。経験者でずば抜けて上手い人もいれば、まだまだ初心者でぎこちない動きする人もいる。プロのモーションアクターならキャラの特徴を掴んでダンスや動きに反映できるが、初心者特有な動きはたとえプロでも表せないものだ。

歌唱については普段の歌枠で分かるはず。そんな候補生3人の歌唱力はそれぞれ実数値としてステータスに反映されてる。これもまたヴイアラというコンテンツの醍醐味かもしれない。

アイマス既存ブランドのアイドルのように、ヴイアラの候補生は同じく「ステータス(能力値)」がある。

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面白いことに、候補生たちのステータスは最初から決められたものではなく、配信活動と審査期間に連れて上がったり下がったりする、正しく「成長コンテンツ」。

これまでアイマスのファンはずっと「プロデューサー」と呼ばれているが、実際自ら参加できる「プロデュース活動」は本当に少なくて。ヴイアラは、既存のどのアイマスブランドもできてない新境地に至って、本当のプロデュース体験を味わせるシステムだ。

まだ3.0 VISIONのテーマ「アイドルプロデュース体験と複合現実の融合」覚えているか?ヴイアラの活動を振り返ってみれば、これこそアイドルマスターというコンテンツが今後目指しているものではないかと、自分は思っている。

 

とはいえ、このままだと候補生とアイマスのアイドルたちを同じスタンダードで見る人が出てくるかもしれないのが、今自分の一番気になる部分だ。

「アイドル(キャラ)と人間の切り分けぐらい自分でなんとかしなさい」と言われたらそこまでだけど、もし運営でさえそれをはっきり区分しなければ、ファンがそれを混同してしまわないと言い切れるだろうか。

言うてそれは我々ファンが考える問題でなく、運営の仕事だから、まだデビューも決まっていないのにそれを考えるの早とちりしすぎた気がしなくもない。

 

そしてもう1つ運営が考えなければいけないものは、このプロジェクトをいつまで続かせるかだ。

 

VTuberをいつまで続けられるか

自分は候補生たちを「キャラクター」として認知することに苦手意識を持っている。VTuberはキャラクターではなく、あくまで二次元の見た目をしている人間。一度でもVTuberを「絵 / キャラクター」として認識してしまえば、価値観のズレが発生してしまわないかという不安要素がある。

(詳しくはGoogle非人間化を検索)

 

今ヴイアラがやろうとしていることは「1人の人間を『アイドル』にすること」。今までのアイドルマスターと違って、空想のキャラクターを0から創り出すのではなく、生身の人間がちゃんとそこにいる。

ヴイアラの候補生がアイドルとしてデビューしたら、彼女たちは正式にバンダイナムコエンターテインメント元のコンテンツ「アイドルマスター」所属の、「本物のアイドル」になる。

ここの言う「本物のアイドル」はもちろんバンダイナムコが芸能事務所になるという訳ではなく、「アイドルマスターのアイドルと同じ立場の"キャラクター"になる」ことだ。正式に所属した暁に活動形式がどう変わるか分からないが、少なくともアイドルマスターを背負う身として色々考えなければいけない部分が増えるだろう。

 

アイマスのキャストは基本アイマスのアイドル以外にも様々な作品のキャラクターを演じていたり、他に声優の仕事をしている。

しかしヴイアラの候補生は中の人が明かされていない。今後明かされるかは分からないが、もしデビュー後正式に所属VTuberとして活動するのであれば、果たしてそれを本業として食っていけるだろうか。

それだけでは生きて行けなくて、副業が始めるとしたら、配信活動の時間を減らさなければいけなくなる。しかし企業所属しているVTuberとして、スケジュールが確実に抑えられる上、ある程度の活動時間は強いられるはずで、そこの矛盾をどう解決するかが肝心なところだ。

 

バンナム関連のVTuber案件は今年4月始動のヴイアラ以外にも、7月の大型新プロジェクト「アイドルVTuber声優キャスト」オーディション実施、9月のVTuberハコ(一般的に事務所という認識)「MEWLIVE」のオープンと1期生募集オーディション、そして反響が最も大きい3月の「ミライアカリの引退」。

ミライアカリは「VTuber四天王(最初期VTuberブームを盛り上がる先導者的立ち位置の人)」の1人で、2017年からデビューし、2020年バンダイナムコミュージックライブに所属してから約2年半、「運営との間の価値観のズレ」が原因で引退された。

引退のお知らせという僅かな情報だけで「運営との価値観ズレ」が何か分かるはずないが、これまでVTuberに疎いバンナムが今年一気に業界進出する様子から、ミライアカリの引退と何かしらの関連性あるのでは?と外界が推測されている。

とはいえ、バンダイという大きなグループ会社の中で、今書かれている企画はそれぞれ「株式会社バンダイ」「バンダイナムコミュージックライブ」「バンダイナムコエンターテインメント」に属するもので、経営方針は一概に言えない。

しかし所属VTuberが"ワケあり"で引退された前例を作ってしまったことから、VTuber好きの人がバンナムにかなり不信感が募ってしまったのも事実。

 

個人的にもう一点気になる部分は、大型新プロジェクトの「アイドルVTuber声優キャスト」オーディション応募条件中に書かれている「最大3年間の活動が約束できる方」だ。

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企業としては当たり前かもしれないが、正直3年間の活動条件は1人の人間にとって普通に長い期間だと思う。

VTuberの中に毎年誕生日で歳が増える人もいれば、設定上年齢が変わらない人もいる。無論それはあくまで「設定」で、中の人は普通に歳を重ねるし、実年齢と設定年齢が違ったりすることもある。

配信を本業にでもしなければ、普通生活のために就職するのが理(裕福な家庭に育ち・家族に養って貰い働かなくてもいい人を除く)。オーディションの応募条件に書いた「(実年齢)18から25歳」という世間的に新卒が就職に該当する年齢を見て、果たして「最大3年間の活動」を維持できる人はどれだけいるだろうか。

 

また、本人が続く意思があればいい話ではなく、最終的な判断は結局企業側にある。3年間の活動を満了した場合、その後はどうなるんだろうか?引き続き「〇年間活動」の条件付き契約になる?それともそのまま企画終了扱いになるんだろうか?

ここに書いた「最大3年間活動」は別にヴイアラのことを指しているわけではなく、あくまで「バンナム元のアイドルVTuber声優キャストオーディション応募条件」でしかない。ただ、ヴイアラにも同じ状況になる可能性は決してゼロではないという事実を認知しなければいけない。

ましていつどのような「明かされない総合的な判断(いつまでも擦り続ける)」で切られるか分からないコンテンツを、我々はどう向き合えばいいだろうか。

VTuberアイマスという長く続いてきたコンテンツに席を置くことって、果たしてどうなるんだろうか。

 

これからのヴイアラ

なんだか不安要素ばかり書いてるような感じで、結局ヴイアラはアイマスにいい影響あるかあまり書いてない気がする。もちろんあるとも。

もしヴイアラが無事アイマスのアイドルとしてデビューできたら、今後アイマスの活動範囲はきっともっと広くなるのであろう。

 

それこそ今のヴイアラ候補生みたいに、違うブランドの曲をカバーしたり、垣根を超える配信番組ができたり、ゲーム実況動画が投稿されたりして。ただの妄想かもしれないが、VISION 3.0の展開でMRプロジェクトをより拡がる形にしていくためにも、これらの活動も視野に入るのではないかと。

 

ただヴイアラを既存のブランドに追加することは正直思うところがある。はっきり言って、ヴイアラは今までのアイマスと全く異なる活動形態で、アイドルと不定期のコラボならまだしも、既存ブランドに追加すればお互いの活動を擦り合わせるためにかなり調整が必要で、ファンの不満に繋がる不安定要素も多くてリスクが高い。

18周年生配信でアイマスに新しいブランドが生まれるとの情報から、もしヴイアラが無事アイドルとしてデビューするなら、ここに加入するのが一番無難ではないかと考えた。

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新しいブランドの色は銀色にも見えるが、もしかすると「誰にもなれるような輝く白色(白って200色あんねん)」で、配信活動の中でそれぞれの色を染めてく象徴ではないかと。

今のヴイアラプロジェクトはアイマスにとっても新しい試みで、つまり試金石のようなもの。もし好調だった場合、そのまま新しいブランドの第1弾としてデビューし、今後はアイドルVTuber専属のブランドとして続々とアイドル配信者を追加していくことも有り得るはずだ。

いまの大手VTuber事務所のように、VTuberの人数が増えれば色んなニーズに応えることができ、見る人も自然と増えてく。何より「VTuber」という新しいトレンドが今時の若者に一番とでも言えるアツいコンテンツで、もしかしたら今飽和気味の二次元アイドルコンテンツに新しい風吹かせるし、何ならVTuber業界から客を奪って、既存のアイマスブランドの新規客層獲得にも繋がる。

 

ただ新しいブランドは小美野(元ミリシタプロデューサー)がプロデューサーを務まる、尚且つゲーム制作中らしいので、勝俣(ヴイアラプロデューサー)の作るヴイアラが新しいブランドに当て嵌めるか今では何も言えない状況だ。もしかしたらラブライブさんの蓮ノ空形態になる可能性も有り得るかもしれない。

他にもヴイアラのシステムを存続させて、今後同じ形式で新しいアイドル候補生をデビューさせるために審査期間を設ける、いわば新しいブランドのためにあるアイドル養成所として成り立つ可能性も。

 

しかし、そのすべては今のヴイアラ候補生が無事デビューできる前提での話。

これからのことを考えるのもいいが、まずは「今」を心掛けたほうが良いのであろう。

 

というわけで、ヴイアラの候補生が無事デビュー権もらうためには、1人5000票を獲得させなければならない。更に3月末に開催されるライブの公演総動員数は全候補生に投票数として加点する。

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「ライブを観るの少しハードル高いかもー」と思ってるそこのあなた!バンダイナムコIDをお持ちする人はIDごとに4票まで入れることが出来るので、もしライブを観る余裕がなくても票を入れることで結果に大きな影響を与える。(結局ダイマかーい)

 

あなたの尊き1票で、候補生たちをデビューさせることだけでなく、今後アイドルマスターというコンテンツの運命にも繋がるかもしれない。

さぁ、一緒に時代の動く瞬間を見届けようではないか!